最終更新日:2026年8月23日
税務署から「予定納税」の通知が来たんですけど、まだ確定申告してないのになんで払うんですか?しかも今年は去年より売上が落ちてるのに……。
予定納税は去年の実績で機械的に決まるんです。今年の状況は見てくれない。だから減らしたいなら自分から申請する必要があります。
結論:今年きついなら11月15日までに減額申請
予定納税でまず押さえるべきは、日付が2つあることです。混同すると手遅れになります。
- 11月15日=減額申請の提出期限(第2期分のみの申請)
- 11月30日=第2期分の納期限
減らしたいなら15日まで。15日を過ぎたら、30日に通知どおりの額を納めることになります。
第1期分および第2期分をまとめて減額する申請は7月1日〜7月15日で、こちらは既に終わっています。いま間に合うのは11月1日〜11月15日の「第2期分のみ」の減額申請です。
予定納税とは — 予定納税基準額が15万円以上で自動的に対象
予定納税は、その年の所得税および復興特別所得税の一部をあらかじめ納める制度です。国税庁は制度の目的を「一時に税金を納付した場合の負担感を緩和すること」と「国の歳入を平準化すること」と説明しています。
その年の5月15日現在で確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した予定納税基準額が15万円以上になる人。
対象者には、所轄税務署長からその年の6月15日までに書面またはe-Taxで通知が届きます。申し込むものではなく、条件を満たすと自動的に対象になります。
納める額は原則として予定納税基準額の3分の1を、第1期分と第2期分の2回に分けて納付します。翌年の確定申告で、計算した税額から予定納税額を差し引いて過不足を精算する仕組みです。
つまり税金が余分に取られるわけではありません。前払いなので最終的には精算されます。問題になるのは金額ではなく、資金繰りのタイミングです。
令和8年分の日程
- 第1期分の納期:7月1日〜7月31日(経過済み)
- 第2期分の納期:11月1日〜11月30日
- 第1期・第2期をまとめた減額申請:7月1日〜7月15日(経過済み)
- 第2期分のみの減額申請:11月1日〜11月15日
納期限・提出期限が土日祝にあたる場合は、その翌日が期限になります。
日付が紛らわしいので、判定の起点になる日も並べておきます。5月15日が予定納税基準額の判定日、6月15日が通知の期限、6月30日が7月申請で使う「現況」の基準日、10月31日が11月申請で使う「現況」の基準日です。

今年から基礎控除が変わりましたよね。その分は予定納税にも反映されてるんですか?
それが反映されていないんです。国税庁が2つのページでわざわざ注意書きしています。今年だけの論点なので、ここは知っておいたほうがいい。
令和8年分だけの注意:基礎控除の見直しは反映されていない
国税庁は予定納税のページと減額申請のページの両方で、次の点を明記しています。
令和8年度税制改正における基礎控除の見直しは、予定納税額の計算上・申告納税見積額の計算上いずれも考慮されない。基礎控除の見直しは確定申告の際に考慮され、最終的な年間の所得税額において精算される。
これには2つの意味があります。
ひとつは、予定納税の通知額は基礎控除の見直し前の計算だということ。最終的には確定申告で精算されるので損はしませんが、前払いする額としては多めになります。
もうひとつは、「基礎控除が増えたから」を理由に減額申請はできないということです。後述する減額申請の事由(4)「所得控除額が前年より増加する場合」に、基礎控除の見直しは含まれないと公式が明記しています。
減額申請ができる4つのケース
国税庁が挙げている対象は次のとおりです。本年分の申告納税見積額が、通知された予定納税基準額より少なくなると見込まれるときに申請できます。
- (1) 廃業や休業、失業をした場合
- (2) 業況不振などのため、本年分の所得が前年分より明らかに少なくなると見込まれる場合
- (3) 災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合
- (4) 本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合
これ以外でも、特殊な事情が生じたことにより申請できる場合があります。
個人事業主が実際に使いやすいのは(2)と(4)です。(2)は「今年は売上が落ちた」というケースで、多くの人が該当します。
見落とされやすいのが(4)です。所得が前年と変わらなくても、控除が増えていれば申請できます。公式が具体的に挙げているのは次のようなものです。
- 雑損控除を受けられる場合
- 医療費控除を新たに受けられる、または前年より控除額が増加する場合
- 配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除を新たに受けられる、または対象者が増加した場合
- 社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の控除額が増加する場合、一定の寄附金を支出した場合
- 住宅借入金等特別控除などを新たに受けられる、または控除額が増加する場合
社会保険料控除が増えるなら、それも減額申請の理由になる
上のリストで個人事業主に効くのが社会保険料控除の増加です。公式が減額申請の事由として明記しています。
社会保険料控除は、支払った国民健康保険料・国民年金保険料・健康保険料・厚生年金保険料などが全額対象になります。つまり年の途中で保険料の払い方が変わり、支払総額が前年より増えるなら、それは減額申請の正当な理由になるということです。
具体例のひとつが国民年金の追納です。免除や学生納付特例を受けた期間の保険料をまとめて納めると、その分がそのまま社会保険料控除に乗るため、控除額が前年より増えます。追納の損得計算は国民年金の追納は損か得か|控除を入れると回収は8.4年で詳しく試算しました。
控除の使い方そのものはフリーランスの確定申告で社会保険料控除を最大化する方法で詳しく整理しています。
- 提出先:納税地を所轄する税務署長
- 方法:e-Taxソフトで作成して送信、または書面を持参・送付
- 添付書類:申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類
- 結果:承認・一部承認・却下のいずれかが、書面またはe-Taxで通知される
申告納税見積額は復興特別所得税額(所得税額の2.1%)を含めて計算します。またその年に税制改正があった場合は、改正後の税法を基に計算します。
もし払えなかったら、どうなるんですか?
延滞税がかかります。しかも途中で率が跳ね上がるので、遅れるにしても早いほうが傷が浅いです。
払えないとどうなるか — 延滞税は途中で跳ね上がる
納期限に遅れると、期限の翌日から納付日までの延滞税がかかります。国税庁が公表している令和8年分の割合は次のとおりです。
第2期分(11月)
- 令和8年12月1日〜12月31日:年2.8%
- 令和9年1月1日〜1月31日:年7.3%と「延滞税特例基準割合+1%」の低いほう
- 令和9年2月1日以後:年14.6%と「延滞税特例基準割合+7.3%」の低いほう
第1期分(7月)
- 令和8年8月1日〜9月30日:年2.8%
- 令和8年10月1日〜12月31日:年9.1%
第1期分でいえば、9月30日までなら年2.8%ですが、10月1日を過ぎると年9.1%へ3倍以上に跳ね上がります。遅れが避けられない場合でも、率が変わる日の前に納めるかどうかで負担が変わります。
なお振替納税を利用していても、残高不足で引き落とせなければ同じく延滞税がかかります。振替日の前日までに入金を確認してください。納付方法そのものの選び方は所得税の納付方法8つを比較で整理しています。
そもそも予定納税の対象になる人は、社会保険料も重い
予定納税の対象は予定納税基準額が15万円以上の人です。前年にそれだけの所得税が発生しているということは、国民健康保険料もそれなりの額になっている層と重なります。
国保料には自治体差があり、所得が上がると上限に張り付きます。予定納税の資金繰りに苦しんでいるなら、税金の納付タイミングを調整するより、社会保険料そのものを見直すほうが動く金額は大きいことがあります。
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よくある質問
Q1. 予定納税は誰が対象ですか?
その年の5月15日現在で確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した予定納税基準額が15万円以上になる人です。対象者には所轄税務署長から6月15日までに書面またはe-Taxで通知が届きます。自分で申し込む制度ではありません。
Q2. いくら払うのですか?
原則として予定納税基準額の3分の1を、第1期分と第2期分の2回に分けて納付します。特別農業所得者は予定納税基準額の2分の1を第2期分として1回だけ納付します。
Q3. 払った予定納税は返ってきますか?
翌年の確定申告で、確定申告書で計算した税額から予定納税額を差し引いて精算します。納めすぎていれば還付されます。前払いであって、余分に取られるわけではありません。
Q4. 今年は売上が落ちました。減額できますか?
できます。業況不振などで本年分の所得が前年分より明らかに少なくなると見込まれる場合は減額申請の対象です。第2期分のみの減額申請は11月1日から11月15日までに提出してください。
Q5. 社会保険料が増えた場合も減額申請できますか?
できます。国税庁は減額申請の対象として「社会保険料控除の控除額が増加する場合」を明記しています。所得が前年と同じでも、控除が増えていれば申告納税見積額は下がるためです。
Q6. 基礎控除が増えたぶんは反映されますか?
反映されません。国税庁は令和8年度税制改正における基礎控除の見直しについて、予定納税額の計算上も申告納税見積額の計算上も考慮されないと明記しています。確定申告の際に考慮され、最終的な年間の所得税額において精算されます。そのため「基礎控除が増えたから」を理由にした減額申請はできません。
Q7. 納期限に遅れるとどうなりますか?
期限の翌日から納付日までの延滞税がかかります。令和8年分の第2期分は、令和8年12月1日から12月31日までが年2.8%で、令和9年1月1日以後は率が上がります。振替納税を利用していても残高不足で引き落とせなければ同じく延滞税の対象です。
まとめ
- 予定納税は前年の実績で機械的に決まる。今年の状況は自分から申請しないと反映されない
- 令和8年分の第2期は納期が11月1日〜30日、減額申請は11月1日〜15日。15日を過ぎたら通知どおりの額を納めることになる
- 減額申請は業況不振だけでなく、社会保険料控除などの控除が増えた場合も対象
- 基礎控除の見直しは予定納税に反映されていない。ただしそれを理由に減額申請はできず、確定申告で精算される
- 遅れると延滞税がかかり、途中で率が上がる(第1期分は10月1日から年9.1%)
予定納税の対象になるということは、前年にそれなりの所得があったということです。同じ水準の所得なら国民健康保険料も高くなっているはずなので、納付の工夫と併せて負担そのものも見直す価値があります。



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