所得税の納付方法8つを比較|振替納税なら38日先延ばしで手数料0円【2026年9月】

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最終更新日:2026年8月23日

セツヤくんセツヤくん

確定申告は終わったんですけど、納付のやり方が多すぎて選べなくて……。コンビニ、クレカ、口座振替、どれが正解なんですか?

イソロくんイソロくん

結論から言うと、資金繰りが読みにくい個人事業主なら振替納税です。手数料が0円なうえに、支払いが1か月以上あとにずれるので。

結論:迷ったら振替納税。理由は「38日」と「0円」

国税の納付手段は全部で8つあります。ただし個人事業主にとって、比較の軸は実質2つしかありません。手数料がいくらかかるかと、いつ財布から出ていくかです。

この2軸で見ると、振替納税が突出しています。国税庁が公表している令和7年分の日程がその根拠です。

振替納税を選ぶと支払いが38日ずれる
  • 確定申告の納期限:令和8年3月16日(月)
  • 振替納税の振替日:令和8年4月23日(木)
  • 差=38日。しかも手数料は0円

出典:国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」

他の納付方法は原則として納期限当日までに払う必要があります。振替納税だけが、手続きを何もせずに1か月以上の猶予を得られる。これは実質的な無利息の短期融資と同じ効果です。

個人事業主の3月は、前年分の所得税と住民税、そして国民健康保険料の重なる時期です。ここで38日ずらせる意味は小さくありません。

令和8年分(2027年に申告する分)の日程

今から準備する方向けに、次回分の日程も確認しておきます。

令和8年分 申告所得税および復興特別所得税
  • 予定納税 第1期:令和8年7月31日(金)※経過済み
  • 予定納税 第2期:令和8年11月30日(月)
  • 確定申告の納期限:令和9年3月15日(月)
  • 振替日:令和9年4月中旬~下旬(未確定)
  • 確定申告延納の期限:令和9年5月31日(月)

なお予定納税は前年の実績で機械的に決まるため、今年の業況が落ちていても通知どおりの額が請求されます。減らすには自分から申請が必要で、第2期分のみの減額申請は11月1日〜11月15日が期限です。詳しくは予定納税とは?第2期11月30日・減額申請は11月15日までで解説しています。

振替日が「未確定」なのは、国税庁が確定次第あらためて公表する運用のためです。令和7年分が3月16日→4月23日でしたから、同程度の間隔になると見込まれますが、確定するまで断定はできません。

個人事業者の消費税は日程が別です。令和7年分は納期限が令和8年3月31日(火)、振替日が令和8年4月30日(木)でした。所得税と消費税で納期限も振替日もずれるので、両方を納める方は混同しないよう注意してください。

セツヤくんセツヤくん

そんなにいいなら、なんでみんな振替納税にしないんですか?

イソロくんイソロくん

事前に「振替依頼書」を出す必要があるからです。逆に言えば一度出せば翌年以降は不要なので、最初の一手間だけですね。

8つの納付方法を条件別に整理する

1. 振替納税(口座引き落とし)

指定した預貯金口座から自動で引き落とされます。手数料0円、振替日が納期限より後ろ倒し。事前に「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書(振替依頼書)」をe-Taxまたは書面で所轄税務署へ提出します。一度提出すれば翌年以降の提出は不要です。

ただし対象は所得税等と個人事業者の消費税等に限られます。残高不足だと引き落とせず延滞税の対象になるため、振替日の前日までに入金を確認してください。

2. ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)

e-Taxで申告した後、自分名義の口座から即時または指定日に引き落とす方法です。手数料は不要。期日を指定できるので、資金繰りの調整はしやすい部類です。

事前にe-Taxの利用開始手続と納税用確認番号の登録、ダイレクト納付利用届出書の提出が必要です。個人はオンライン提出ができます。なお農業協同組合・漁業協同組合・一部のインターネット専業銀行は利用できません

3. インターネットバンキング等

金融機関のネットバンキングやATMから電子納税する方法です。手数料は金融機関の規定によります。e-Taxの利用開始手続が前提になります。

4. クレジットカード納付

「国税クレジットカードお支払サイト」から納付します。決済手数料が納税者負担で、金額は後述します。カードのポイント還元率が手数料を上回るかどうかが判断軸です。

利用可能ブランドはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club。上限は1回の納付につき1,000万円未満、かつカードの決済可能額以下(手数料込み)です。

5. スマホアプリ納付

PayPayなどのスマホ決済アプリで納付します。手数料は不要ですが、納付税額30万円以下という上限があります。30万円を超える場合は他のキャッシュレス手段を使うことになります。

6. コンビニ納付(QRコード)

国税庁のサイトで作成したQRコードをコンビニのマルチコピー機で読み取り、出力された納付書で支払います。納付書が手元になくても使えるのが利点です。金額上限は30万円以下。

7. コンビニ納付(バーコード)

税務署が発行したバーコード付納付書で支払います。納付書1枚につき30万円以下、手数料不要。ただし支払いは現金のみで、クレジットカードも電子マネーも使えません。「コンビニだからカードで払える」と思っていると当日に詰みます。

8. 窓口納付(金融機関・税務署)

納付書を持参して現金で支払います。金額の上限はなく、領収証書が受け取れる唯一の方法です。平日の日中しか対応していない点が難点です。

振替納税なら支払いが38日ずれる。納期限どおりに納付すると令和8年3月16日、振替納税を選んだ場合は令和8年4月23日。38日ぶん後ろにずれて手数料は0円
令和7年分 申告所得税および復興特別所得税の納期限と振替日(出典:国税庁)

金額で決まる — 30万円と1,000万円、2つの壁

納付方法の選択は、実は納税額でほぼ機械的に絞り込めます。

納税額で選択肢が変わる
  • 30万円以下:全8方法が使える。スマホアプリ納付・コンビニ納付が候補に入る
  • 30万円超〜1,000万円未満:スマホアプリ納付とコンビニ納付が脱落。振替納税・ダイレクト納付・クレジットカード納付・インターネットバンキング・窓口納付から選ぶ
  • 1,000万円以上:クレジットカード納付も脱落。振替納税・ダイレクト納付・インターネットバンキング・窓口納付のみ

つまり納税額が30万円を超えた時点で、「コンビニで払えばいいや」は選択肢から消えます。ここを知らずに納期限直前にコンビニへ行き、支払えずに延滞税を発生させるのが典型的な失敗です。

クレジットカード納付は得か損か — 実質0.99%の計算

クレジットカード納付の決済手数料は、国税庁が次のように公表しています。

決済手数料(税込)
  • 1〜10,000円:99円
  • 10,001〜20,000円:198円
  • 20,001〜30,000円:297円
  • 30,001〜40,000円:396円
  • 40,001〜50,000円:495円
  • 以降、10,000円を超えるごとに99円ずつ加算

実質的な負担率はおよそ0.99%です。判断は単純で、カードのポイント還元率が0.99%を超えるなら得、下回るなら損になります。

還元率1.0%のカードなら、20万円の納付で手数料1,980円に対しポイント2,000円分。差し引き20円のプラスにしかなりません。実務上はほぼ手数料とポイントが相殺されると考えたほうが現実的です。

一方で、支払いがカードの引き落とし日まで先送りされる点には資金繰り上の意味があります。ただしその目的なら、手数料0円で38日ずらせる振替納税のほうが素直です。

クレジットカード納付の注意点

領収証書は発行されません。納付後に納付確認書が別途送付されます。融資審査などで領収証書の原本が要る場合は、窓口納付を選んでください。

個人事業主が踏みやすい3つの罠

罠1:納付書は送られてこない

国税庁は「申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせはありません」と明記しています。待っていても届きません。とくにダイレクト納付を利用する場合、確定申告用の納付書は送付されません。

罠2:キャッシュレス納付では領収証書が出ない

ダイレクト納付もクレジットカード納付も領収証書は発行されません。ダイレクト納付ではe-Taxのメッセージボックスに完了通知が格納される形になります。領収証書の原本が必要なら、最寄りの金融機関等の窓口で納付する必要があります。

罠3:延滞税は納期限の翌日から発生する

納付が納期限に遅れると、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税を併せて納めることになります。振替納税で残高不足だった場合も同じです。振替日の前日までに入金を済ませてください。

セツヤくんセツヤくん

納付方法は分かりました。でも正直、払う金額そのものがきついんですよね……。

イソロくんイソロくん

そこなんですよね。僕も同じでした。ただ個人事業主の場合、実は所得税より国民健康保険料のほうが重いケースが多いんです。

納付方法を工夫する前に、負担そのものを見直せないか

納付方法の最適化で動かせるのは、手数料の数百円と支払い時期の1か月です。金額そのものは1円も変わりません。

一方で個人事業主の場合、所得税よりも国民健康保険料のほうが負担として大きいことが珍しくありません。国保料には自治体差があり、課税所得が上がると上限に張り付きます。ここは納付方法と違って、制度の選び方で金額そのものが動く領域です。

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よくある質問

Q1. 振替納税の手続きはいつまでにすればいいですか?

確定申告書と併せて「振替依頼書」を納期限までに提出します。e-Taxまたは書面で所轄税務署へ提出でき、一度提出すれば翌年以降の提出は不要です。対象は所得税等と個人事業者の消費税等に限られます。

Q2. コンビニでクレジットカード払いはできますか?

できません。コンビニ納付は現金のみで、クレジットカードも電子マネーも使えません。カードで払いたい場合は「国税クレジットカードお支払サイト」からの納付になります。

Q3. 納付額が30万円を超えるとどうなりますか?

スマホアプリ納付とコンビニ納付が使えなくなります。振替納税、ダイレクト納付、クレジットカード納付(1,000万円未満)、インターネットバンキング、窓口納付から選ぶことになります。

Q4. クレジットカード納付はポイント分だけ得ですか?

決済手数料が実質約0.99%かかるため、還元率が0.99%を超えないと得になりません。還元率1.0%のカードで20万円を納付した場合、手数料1,980円に対しポイントは2,000円分で、差は20円です。ほぼ相殺されると考えるのが現実的です。

Q5. 領収証書が必要なのですが、どの方法を選べばいいですか?

金融機関または税務署の窓口で納付してください。ダイレクト納付・クレジットカード納付を含むキャッシュレス納付では領収証書が発行されません。

Q6. 納付書は税務署から送られてきますか?

届きません。国税庁は「申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせはありません」と明記しています。とくにダイレクト納付を利用する場合、確定申告用の納付書は送付されません。

まとめ:納付方法は納税額でほぼ決まる

選び方を整理すると次のようになります。

結論
  • 資金繰りを重視するなら振替納税。手数料0円で、令和7年分は38日の猶予があった
  • 期日を自分で決めたいならダイレクト納付。手数料0円で即時・指定日の両方に対応
  • 30万円以下で手軽に済ませたいならスマホアプリ納付かコンビニ納付。ただしコンビニは現金のみ
  • 領収証書が要るなら窓口納付。これ以外に原本を受け取る方法はない
  • クレジットカード納付は手数料約0.99%。ポイント還元率で判断するが、実質は相殺されやすい

ただし納付方法をどう工夫しても、納める金額そのものは変わりません。負担そのものを軽くしたい場合は、所得税ではなく社会保険料の側を見直すほうが動く金額は大きくなります。

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