最終更新日:2026年8月14日
フリーランスの年金って、正直あとで考えればいいかと放置してます。国民年金だけだと、老後っていくらもらえるんですか?
満額でも月70,608円(令和8年度)、実際の平均は月5万円台です。会社員の厚生年金と違って上乗せが無いぶん、老後の生活費には届きません。まず「いくら足りないか」を直視して、埋める手段を順に見ていきましょう。
フリーランス・個人事業主にとって、年金は「先送りしがちだけど、先送りするほど不利になる」典型的なテーマです。この記事では、国民年金だけの受給額の現実を公式数字で確認し、その不足をどう埋めるかを4つの手段で整理します。個別の制度はそれぞれ詳しい記事にリンクしているので、この記事を入口にしてください。
✅ この記事でわかること
- 国民年金だけの受給額(満額と実際の平均)令和8年度
- 家計調査から見た「老後の毎月の不足額」
- 不足を埋める4手段(付加年金・国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済)の違い
- 2026年12月からのiDeCo・基金の上限引き上げ
- どれから始めるべきかの優先順位
1. 国民年金だけの受給額の現実
令和8年度の老齢基礎年金は、40年(480月)すべて納めた満額で月70,608円(年847,300円)です。ただしこれは満額の場合。
厚生労働省の令和6年度概況によると、国民年金の老齢年金受給者の平均は月59,431円、厚生年金のない層(旧国年・基礎のみ=フリーランスの実態に近い)では月54,578円にとどまります。未納・免除期間があるとさらに下がります。
📝 未納は「そのまま年金減」に直結する
未納が1年あると、老齢基礎年金は年約21,183円(月約1,765円)減ります。学生納付特例や納付猶予を受けた期間も、追納しない限り年金額には反映されません。60〜65歳の任意加入で満額に近づける手もあります。
2. 家計調査で見る「毎月の不足額」
では、老後の生活費はいくらかかるのか。総務省の家計調査(2025年平均)では、高齢無職世帯の毎月の姿はこうです。
| 世帯 | 毎月の消費支出 | 平均像での不足 |
|---|---|---|
| 高齢単身無職 | 148,445円 | 月約3.0万円 |
| 高齢夫婦無職 | 263,979円 | 月約4.2万円 |
⚠ フリーランスの不足は「平均像」より大きい
上の不足額は、厚生年金を含む世帯の平均像です。国民年金だけの場合はもっと厳しく、当サイトの試算では、単身で消費支出148,445円に対し満額70,608円なら月約7.8万円、平均受給額なら月約9万円の不足になります。さらに家計調査は持家率9割前提(住居費は月1万円台)なので、賃貸のフリーランスは不足がさらに拡大します(関連:個人事業主の老後・生涯シミュレーション)。
月9万円も足りないなんて…どうすればいいんですか?
落ち込むのはまだ早いです。上乗せの手段は4つ、ちゃんと用意されています
3. 不足を埋める4つの手段
フリーランスが老後資金を上乗せする主な手段は4つ。それぞれ性格が違います。
① 付加年金|月400円で始められる最初の一歩
国民年金保険料に月400円を上乗せすると、受給時に「200円×納付月数」が一生上乗せされます。2年で元が取れるコスパの高さが特徴。まず最初に検討すべき制度です(詳細:付加年金は月400円で年金が増える神制度)。ただし後述の国民年金基金とは併用できません。
② 国民年金基金|終身でもらえる上乗せ
掛金の上限は月68,000円(iDeCoと合算)。令和8年12月分の掛金から上限が75,000円に引き上げられます。1口目は終身年金で、長生きするほど有利。掛金は全額が社会保険料控除の対象(生計を一にする家族の分も控除可)です。
③ iDeCo|運用しながら積み立てる
フリーランス(第1号被保険者)の上限は現行月68,000円、こちらも令和8年12月から75,000円に引き上げ(iDeCoと基金で共通の枠)。自分で運用商品を選び、掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象です(詳細:iDeCo改正2026|掛金上限が月7.5万円に)。
④ 小規模企業共済|退職金を自分で作る
年金ではありませんが、老後資金の柱になります。月1,000〜70,000円を積み立て、掛金は全額控除。一括受取は退職所得、分割受取は公的年金等の雑所得として扱われます。iDeCoとの使い分けはiDeCo×小規模企業共済の徹底比較で解説しています。
4. 一覧で比較
| 手段 | 掛金の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 付加年金 | 月400円 | 2年で元。基金と併用不可。最初の一歩 |
| 国民年金基金 | 〜68,000円(12月〜75,000円) | 終身年金・全額社会保険料控除 |
| iDeCo | 〜68,000円(12月〜75,000円) | 自分で運用・掛金控除。基金と共通枠 |
| 小規模企業共済 | 月1,000〜70,000円 | 実質の退職金・全額控除 |
その4つの中から選ぶしかないんですか?
実はもう一つ、年金の土台ごと変える方法があります。僕が最終的に選んだのはこれでした
フリーランスでも厚生年金に入るという「5つ目の手段」
ここまでの4つは、すべて国民年金の「上に積む」方法でした。もう一つ、年金の土台そのものを厚生年金に変える方法があります。フリーランスが厚生年金に入る道は、次の2つです。
| 方法 | 仕組み | 向いている人 |
|---|---|---|
| 法人化(マイクロ法人) | 自分の会社を作り役員として社会保険に加入 | 事業が安定し、法人維持コストを払える人 |
| 社保加入サービス(従業員型) | 実態のある雇用契約で従業員として社会保険に加入 | 法人化まではしたくない人 |
厚生年金は国民年金(1階)の上に報酬比例部分(2階)が自動的に乗るため、将来の受給額そのものが底上げされます。①〜④の上乗せ制度と違い、健康保険も同時に切り替わるので、国保料が高い方ほど保険料と老後対策を同時に解決できる可能性があります。
ただし、月々の負担額と損益分岐は所得によって変わります。詳しくは法人化して社会保険に入ると税金と保険料はどう変わるかと社保加入サービスの実体験レビュー(給与明細つき)で解説しています。
5. 繰下げ受給という「もう一つの上乗せ」
受給開始を遅らせる繰下げも有効です。1ヶ月遅らせるごとに0.7%増え、75歳まで待てば最大84%増。長く働けるフリーランスと相性が良い選択肢です。逆に繰上げは1ヶ月0.4%減(最大24%減・取消不可)なので慎重に。
6. どれから始めるべきか
- まず付加年金(月400円・2年で元)。誰でも今日から
- 余力があればiDeCoか国民年金基金。運用したいならiDeCo、終身の安心なら基金
- 事業が安定していれば小規模企業共済で退職金を作る
- そもそも厚生年金に入る道もある。法人化や社会保険への切り替えは、国保料の定額化と厚生年金の上乗せを同時に得られます
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よくある質問
Q1. 国民年金だけで老後は暮らせますか?
満額でも月70,608円で、家計調査の支出に対し不足します。上乗せか、就労の継続、繰下げでの増額を組み合わせるのが現実的です。
Q2. 付加年金とiDeCo・基金は併用できますか?
付加年金とiDeCoは併用可。付加年金と国民年金基金は併用不可です(基金が付加年金を代行するため)。
Q3. 掛金の税制優遇はどう違いますか?
国民年金基金は社会保険料控除(家族分も可)、iDeCoと小規模企業共済は小規模企業共済等掛金控除(本人分のみ)です。
Q4. 未納期間があります。取り返せますか?
過去分は原則2年以内なら納付可、免除・猶予期間は10年以内なら追納できます。60〜65歳の任意加入も有効です。
まとめ
- 国民年金だけの受給は満額で月70,608円、実際の平均は月5万円台(令和8年度)
- 家計調査の平均像でも単身月3万円・夫婦月4.2万円不足。国民年金のみなら不足はさらに大きい
- 埋める手段は付加年金→iDeCo/基金→小規模企業共済の順で検討
- iDeCo・基金は2026年12月から上限が月75,000円に拡大
- 厚生年金に入る道(社保切替・法人化)も選択肢
【免責事項】本記事は2026年8月時点の日本年金機構・厚生労働省・総務省家計調査の公表情報に基づきます。不足額のうち国民年金のみを前提とした試算は当サイトによる概算であり、家計調査の平均像は厚生年金を含む世帯のものです。実際の年金額・掛金上限は年度や個人の状況で変わります。具体的な判断は年金事務所・専門家にご確認ください。



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