最終更新日:2026年8月24日
国民年金をまとめて払うと安くなるって聞いたんですけど、2年分だと40万円超えますよね。それだけの価値ありますか?
2年前納なら17,370円割引です。ただし払い方で割引額が変わるのと、デメリットもあるので、そこを踏まえて決めるといいですよ。
結論:2年前納・口座振替が最大で17,370円割引
国民年金保険料は、一定期間分をまとめて前払いすると割引されます。令和8年度の割引額は日本年金機構が公表していて、最大は2年前納の口座振替で17,370円です。
口座振替
- 2年前納:417,150円(割引 17,370円)
- 1年前納:210,530円(割引 4,510円)
- 6カ月前納:106,300円(割引 1,220円)
- 当月末振替(早割):17,860円(割引 60円)
納付書払い・クレジットカード払い
- 2年前納:418,510円(割引 16,010円)
- 1年前納:211,220円(割引 3,820円)
- 6カ月前納:106,650円(割引 870円)
令和8年度の毎月納付は17,920円、令和9年度は18,290円です。
まとめる期間が長いほど割引は大きくなります。ただし期間の長さ以上に効くのが「払い方」です。
口座振替とクレジットカード、どちらが得か
上の表を見ると、同じ2年前納でも口座振替とクレジットカードで割引額が違います。
- 口座振替:割引 17,370円
- 納付書・クレジットカード:割引 16,010円
- 差は1,360円(口座振替のほうが有利)
ただしクレジットカードにはポイント還元があります。そこでポイントが1,360円を上回るかどうかが判断の分かれ目になります。
2年前納のクレジットカード払いは418,510円なので、損益分岐点は次のように計算できます。
- 1,360円 ÷ 418,510円 = 約0.325%
- 還元率が0.325%を超えるならクレジットカードが有利
- 還元率0.5%なら 2,092円分のポイント → クレカが732円有利
- 還元率1.0%なら 4,185円分のポイント → クレカが2,825円有利
一般的なクレジットカードの還元率は0.5%以上のものが多いため、カードを持っているなら多くの場合クレジットカード払いのほうが得という結論になります。還元率0.3%を下回るカードしかない場合だけ、口座振替を選ぶ意味があります。

じゃあ迷わず2年前納でいいんですね?
そこは慎重に。デメリットが4つあって、特に個人事業主だと引っかかりやすいものがあります。
前納のデメリット4つ
1. まとまった資金が必要になる
2年前納は一度に417,150円を支払います。割引額17,370円に対して、40万円超を先に手放すことになります。手元資金が薄い状態で無理に使うと、事業の運転資金を圧迫します。
割引率で見ると、434,520円に対して17,370円なので約4.0%です。2年分をまとめて払うことを考えると、資金効率としては劇的に有利というわけではありません。「余裕資金があるなら得」という位置づけで捉えるのが妥当です。
2. 途中で厚生年金に切り替わると還付手続きが必要になる
前納したあとに就職して厚生年金の被保険者になった場合、国民年金の第1号被保険者ではなくなります。この場合、前納した保険料のうち該当する期間分は還付の対象になり、手続きが必要です。
個人事業主でも、法人化して役員報酬を取るようになったり、社会保険に加入できるサービスを利用したりすると同じことが起きます。2年という期間の間に働き方が変わる見込みがあるなら、期間の短い前納を選ぶほうが手間が少ないです。
3. 申込に期限があり、逃すと1年待つことになる
口座振替やクレジットカード納付で前納する場合、事前に申出書の提出が必要です。
4月開始の2年前納を希望する場合、2月末(必着)までに申出書を日本年金機構に提出する必要があります。
この期限を逃すと、4月開始の前納は翌年まで待つことになります。今から準備するなら、次の締切は令和9年2月末です。
提出先は、口座振替なら「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書 兼 還付金振込方法(変更)申出書」を金融機関(郵便局を含む)の窓口または年金事務所へ。クレジットカード納付なら「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」を年金事務所へ提出します。
なお令和7年1月以降に2年前納を希望する場合、旧様式の申出書は使えません。古い書式を持っている場合は取り直してください。
4. 社会保険料控除をどう扱うか判断が要る
2年分をまとめて払うと、控除も大きな額になります。ここで判断が必要になるのですが、これは裏を返せばメリットにもなります。次の項で説明します。
控除する年は自分で選べる
国税庁は2年前納した保険料の社会保険料控除について、次のように定めています。
納めた年に全額控除する方法と、各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法を選択することができます。
出典:国税庁「2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について」
つまり所得が高くなりそうな年に40万円超の控除を寄せられるということです。事業所得が年によって振れる個人事業主にとっては、これ自体が節税の手段になります。
さらに、控除が前年より増える年は予定納税の減額申請もできます。国税庁が減額申請の事由として「社会保険料控除の控除額が増加する場合」を明記しているためです。確定申告での精算を待たずに資金繰りが改善します。詳しくは予定納税とは?第2期11月30日・減額申請は11月15日までとフリーランスの確定申告で社会保険料控除を最大化する方法で解説しています。
付加保険料も前納できる
月400円の付加保険料も前納の対象です。令和8年度の金額は次のとおりです。
- 口座振替:2年前納 9,220円(割引380円)/ 1年前納 4,700円(割引100円)/ 6カ月前納 2,370円(割引30円)
- 納付書・クレジットカード:2年前納 9,250円(割引350円)/ 1年前納 4,710円(割引90円)/ 6カ月前納 2,380円(割引20円)
割引額そのものは数百円ですが、付加年金は納付月数×200円が毎年上乗せされる制度なので、前納の割引よりも制度自体の利回りのほうが本題になります。
そもそも毎月17,920円って、けっこう重いですよね……。
そこなんですよね。国民年金に国保が乗ると、前納の割引では追いつかない負担になっていることが多いです。
前納で動くのは1万円台。負担そのものは別の話
2年前納の割引は17,370円です。効果は確実ですが、2年分でこの金額という規模でもあります。
一方で個人事業主が毎年負担している国民年金と国民健康保険を合わせると、金額の桁が変わります。国民年金だけで年間215,040円(令和8年度・17,920円×12)で、そこに国民健康保険料が上乗せされます。国保料は所得が上がるほど重くなり、上限に張り付きます。
前納で節約できるのは支払い方の工夫による部分だけです。負担そのものを動かしたい場合は、制度の選び方から見直す必要があります。
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よくある質問
Q1. 前納で一番得なのはどれですか?
割引額だけで見ると2年前納の口座振替で17,370円が最大です。ただしクレジットカード払いの場合、還元率が約0.325%を超えるならポイント分で口座振替との差1,360円を上回るため、還元率0.5%以上のカードならクレジットカード払いのほうが有利になります。
Q2. 前納のデメリットは何ですか?
2年前納なら417,150円をまとめて支払うため資金を圧迫すること、途中で厚生年金に切り替わると還付手続きが必要になること、申込に期限があること(4月開始なら2月末必着)、社会保険料控除をどう扱うか判断が要ることの4点です。
Q3. 申込はいつまでにすればいいですか?
4月開始の2年前納を希望する場合、2月末(必着)までに申出書を日本年金機構に提出してください。口座振替は金融機関の窓口または年金事務所、クレジットカード納付は年金事務所が提出先です。令和7年1月以降に2年前納を希望する場合、旧様式の申出書は使えません。
Q4. 前納した保険料はいつ控除しますか?
2年前納の場合、納めた年に全額控除する方法と、各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法を選択できます。所得が高くなる年に寄せる調整ができるため、事業所得が振れる個人事業主には有利に働きます。
Q5. 途中で就職したら前納分はどうなりますか?
厚生年金の被保険者になると国民年金の第1号被保険者ではなくなるため、該当する期間分の前納保険料は還付の対象になり、手続きが必要です。2年の間に働き方が変わる見込みがあるなら、期間の短い前納を選ぶほうが手間がかかりません。
Q6. 年度の途中からでも前納できますか?
できます。令和6年3月から、口座振替・クレジットカード納付での前納について年度の途中からまとめて振替(立替)できるようになっています。納付書の場合も、任意の月分から当年度末または翌年度末までをまとめて前納できます。ただし前納用の納付書が必要なので、手元にない場合は年金事務所に問い合わせてください。
まとめ
- 令和8年度の最大割引は2年前納・口座振替で17,370円
- クレジットカードは割引が1,360円少ないが、還元率0.325%超ならポイントで逆転する
- デメリットは資金拘束・還付手続き・申込期限・控除の判断の4つ
- 控除する年は選べる。所得が高い年に寄せれば節税になり、予定納税の減額申請にも使える
- 4月開始の2年前納は2月末必着。次の締切は令和9年2月末
前納で動かせるのは2年で1万円台です。確実な節約ではありますが、毎年の保険料そのものの重さとは桁が違います。負担の総額を見直したい場合は、支払い方ではなく制度の側から考える必要があります。



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