最終更新日:2026年7月25日
来月末で会社を辞めてフリーランスになります!保険とか年金って、辞めたら自動で切り替わるんですよね?
実は全部自分で手続きが必要です。しかも選び方と順番を間違えると、同じ人でも年18万円以上変わることがあります。退職日を決める前に、この記事の内容だけは押さえておきましょう。
会社員の間は給与天引きで意識しなかった健康保険と年金。退職すると保険証は退職日の翌日から使えなくなり、次の保険を自分で選んで、期限内に自分で手続きすることになります。
この記事は「退職を考え始めた〜退職日が決まった」段階の方向けに、選択肢・期限・損しない順番を、2026年度の実際の料率と計算式つきで解説します。
✅ この記事でわかること
- 退職後の医療保険4択と、それぞれの期限(5日/14日/20日)
- 年収400万・500万・700万円での実額試算(東京23区・2026年度・計算式つき)
- 損しない手続きの「順番」と、間違えた場合の損失額
- 月末退職と月中退職で保険料のかかり方が変わる仕組み
📝 試算の前提(この記事共通)
2026年度(令和8年度)料率/東京23区(世田谷区の料率で試算・特別区は概ね共通)/40歳未満(介護分なし)/単身/賞与なし(標準報酬月額=年収÷12)。退職後1年目の国保は前年=会社員時代の給与所得で計算されます。保険料は自治体・年齢・家族構成・所得で変わるため、正確な金額は各公式サイトでご確認ください。
退職後の医療保険、選択肢は4つ【期限つき早見表】
選択肢が4つもあるんですか!?
はい。そして「期限」と「後から乗り換えられるか」がそれぞれ違うのが最大のポイントです。
| 選択肢 | 手続き期限 | 保険料の決まり方 | 年金 |
|---|---|---|---|
| ① 任意継続(協会けんぽ) | 退職日の翌日から20日以内 | 退職時の標準報酬月額(上限32万円)×全額自己負担 | 国民年金に別途加入 |
| ② 国民健康保険 | 退職日の翌日から14日以内 | 前年所得で計算(上限113万円/40歳未満96万円) | 国民年金に別途加入 |
| ③ 家族の扶養 | 事実発生から5日以内が原則(家族の勤務先経由) | 0円(年収見込み130万円未満などの条件) | 配偶者の扶養なら第3号被保険者 |
| ④ 従業員型の社保加入サービス | サービスによる(月単位で加入可) | 定額(例:実質 月約44,000円) | 厚生年金に加入 |
覚えておくべきは「任意継続→国保への乗り換えはいつでも可能(2022年1月改正)だが、国保→任意継続は不可」という非対称性です。任意継続に入れるのは退職から20日以内だけ。この1点が後述の「順番」戦略の土台になります。
各選択肢の制度詳細は任意継続の完全解説、家族構成別の細かい比較は任意継続vs国保vsソロコンの徹底比較【保存版】で扱っています。この記事は「退職前に決めるべきこと」に絞ります。
【年収別試算】どれが安いかは年収で逆転する
結局、どれが一番安いんですか?
年収で正解が逆転します。同じ東京23区・単身でも、400万円と700万円では最安の選択肢が変わるんですよ。
💡 計算式(すべてこの式で算出)
給与所得=年収−給与所得控除(400万円なら年収×20%+44万円=124万円)
国保(年額)=(給与所得−基礎控除43万円)×10.58%+均等割67,073円
任意継続(年額)=標準報酬32万円×(健保9.85%+子ども・子育て支援金0.23%)×12=387,072円※月給33.3万円超は全員上限32万円になるため3パターン共通
国民年金=17,920円×12=215,040円
年収400万円:国保とサービスが実質同額
| 選択肢 | 医療保険(年) | 国民年金(年) | 合計(年) |
|---|---|---|---|
| 国保 | 313,587円 | 215,040円 | 528,627円 |
| 任意継続 | 387,072円 | 215,040円 | 602,112円 |
| 社保サービス | 528,000円(年金・医療込み) | ― | 528,000円 ←実質同額・厚生年金つき |
国保の内訳:(276万−43万)×10.58%+67,073円=313,587円。「継続のほうが安心そう」で任意継続を選ぶと年73,485円の払いすぎです。社保サービスとの差はほぼ同額(差は年627円)です。同じ負担なら厚生年金が付く分だけサービス側に分がありますが、収入がまだ不安定な時期に急いで決める必要はありません。
年収500万円:ここが逆転の境目
| 選択肢 | 医療保険(年) | 国民年金(年) | 合計(年) |
|---|---|---|---|
| 国保 | 398,227円 | 215,040円 | 613,267円 |
| 任意継続 | 387,072円 | 215,040円 | 602,112円 |
| 社保サービス | 528,000円 | ― | 528,000円 ←最安 |
国保と任意継続の差は年11,155円。参考までに、会社員時代の社会保険の本人負担は月57,708円(健保20,193円+厚生年金37,515円・標準報酬41万円の場合)でした。退職後の国保+国民年金は月51,106円と一見安く見えますが、厚生年金の上乗せと会社負担分が消えていることに注意してください。
年収700万円:任意継続が国保より年17.3万円安い
| 選択肢 | 医療保険(年) | 国民年金(年) | 合計(年) |
|---|---|---|---|
| 国保 | 571,739円 | 215,040円 | 786,779円 |
| 任意継続 | 387,072円 | 215,040円 | 602,112円 |
| 社保サービス | 528,000円 | ― | 528,000円 ←最安 |
国保の内訳:(520万−43万)×10.58%+67,073円=571,739円。比較せずに国保へ直行すると任意継続より年184,667円高く、任意継続は2年使えるため最大約36.9万円の差になり得ます。任意継続が年収に関係なく一定なのは標準報酬の上限32万円があるためで、年収が高い人ほど相対的に有利になります。
損しない手続きの順番【5ステップ】
順番って、そんなに大事ですか?
任意継続だけは20日を過ぎると二度と入れません。国保はいつでも入れる。この非対称性がすべてです。
ステップ1:退職日が決まったら、まず4択を試算する(退職1ヶ月前まで推奨)
自分の自治体の国保額、任意継続額(退職時の標準報酬×都道府県料率)、扶養の可否を数字で出します。上のシミュレーターと自治体の試算ページが使えます。
ステップ2:退職日を「月末」にできないか検討する
詳細は次章。月中退職は保険料のかかり方が1ヶ月分変わります。
ステップ3:扶養の可能性を最初に潰す(該当者のみ・5日以内)
配偶者などの扶養に入れれば保険料0円。ただし「今後1年間の収入見込み130万円未満」が基本条件で、失業給付を受ける場合は日額3,612円以上(130万円÷360日=3,611.1円)で対象外です。フリーランスとしてすぐ売上が立つ見込みの人は通常対象外になります。
ステップ4:迷ったら「任意継続で仮スタート」も選択肢(20日以内厳守)
任意継続はいつでもやめて国保に移れます(資格喪失は申出受理月の翌月1日)。つまり「任意継続→国保」の一方通行は可能で、逆は不可能。年収500万円以上で迷っている人は、20日以内に任意継続を確保し、翌年度に国保が安くなったタイミングで乗り換える戦略が取れます。順番を間違えて国保に入った年収700万円の人は、年184,667円の差額を最大2年払い続けることになります。
ステップ5:国保にする場合は14日以内に役所へ(国民年金も同時に)
退職日の翌日から14日以内に、市区町村窓口で国保加入と国民年金(第1号被保険者)への切替を行います。届出が遅れても保険料は退職日の翌日まで遡って発生し、届出前の医療費はやむを得ない事情がない限り全額自己負担になり得ます。「入らなければタダ」にはなりません。退職後30日間の全手続き(失業保険・開業届含む)は退職後30日ロードマップにチェックリスト化しています。
月末退職と月中退職で何が変わるか
退職日って月末がいいって聞きますけど、本当ですか?
仕組みを知った上で選ぶのが正解です。社会保険料のかかり方が1ヶ月分変わります。
社会保険の資格喪失日は「退職日の翌日」。そして資格喪失日を含む月の保険料はかからないルールです。
| 退職日 | 資格喪失日 | 会社の社保 | その月の負担 |
|---|---|---|---|
| 7月31日(月末) | 8月1日 | 7月分まで(労使折半) | 会社の健保・厚生年金でカバー |
| 7月20日(月中) | 7月21日 | 6月分まで | 7月分は国保+国民年金を全額自己負担 |
月中退職は「会社の保険料1ヶ月分を払わずに済む」ように見えますが、その月の国保+国民年金(年収500万円モデルで月51,106円)を自分で払うことになり、さらに厚生年金の加入記録が1ヶ月減ります。標準報酬41万円の場合、1ヶ月分の厚生年金記録は 410,000×5.481÷1000=年2,247円(終身)の老齢厚生年金に相当します。どちらが得かは給与額や考え方で変わるため断定はしませんが、知らずに月中退職して想定外の請求に驚くケースが後を絶ちません。
よくある失敗3つ【損失額つき】
実際、どんな失敗が多いんですか?
金額つきで3つ紹介します。共通する原因は「比較しなかった」ことです。
失敗1:任意継続と国保を比較せず、高い方に入った
年収700万円で国保へ直行→年184,667円(2年で約36.9万円)の払いすぎ。年収400万円で任意継続へ→年73,485円の払いすぎ。正解は前年所得で逆転します。
失敗2:任意継続の20日期限を過ぎ、選択肢が消えた
退職直後は引っ越し・失業給付・開業準備が重なり、20日はあっという間です。過ぎると原則加入できず、年収が高い人ほど機会損失が大きくなります。
失敗3:退職2年目の「乗り換え時期」を逃した
国保は前年所得で計算されるため、退職1年目は会社員時代の給与ベースで高く、フリーランス1年目の所得が下がれば2年目の国保は大きく下がるのが通常です。任意継続は2年ほぼ定額のため、「1年目は任意継続→2年目に国保へ」の見直しをしないと差額を払い続けます。1年目全体のお金の動きはフリーランス1年目の社会保険ガイドで解説しています。
第4の選択肢:従業員型の社保加入サービスという考え方
4つ目の選択肢って、あまり聞いたことないです。
運営側に正社員として雇用されて健康保険+厚生年金に入る方法です。年収500万円を超えるあたりから数字が変わってきます。
ここまでの3択はどれも年金が国民年金のまま(満額でも月約68,000円)です。4つ目の選択肢は、サービス運営側と雇用契約を結んで健康保険+厚生年金に加入する「従業員型」の社保加入サービス。負担は定額で、例としてソロコンシェルジュの場合は会費49,500円−給与手取り約5,500円=実質 月約44,000円(年528,000円)、国保・国民年金は脱退します。
今回の試算では年収500万円以上なら3択のどれよりも年間負担が安く(500万円で年74,112〜85,267円差、700万円で年74,112〜258,779円差)、かつ厚生年金が付きます。一方、年収400万円では国保との差が年627円しかなく、収入が安定していない時期に無理に加入する必要はありません。売上の見通しが立ってから検討すれば十分です。仕組み・合法性は現存サービスおすすめランキングと実加入者の本音レビュー(給与明細つき)で確認できます。
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よくある質問
Q1. 会社の保険証はいつまで使えますか?
退職日までです。退職日の翌日以降に使うと、後日医療費の返還を求められます。保険証(資格確認書)は退職時に会社へ返却します。
Q2. 14日・20日の期限を過ぎたらどうなりますか?
国保は遡って加入・保険料発生となり、届出前の医療費はやむを得ない事情がない限り全額自己負担になり得ます。任意継続は原則加入できなくなり、実質的に国保一択になります。
Q3. 有給消化中の保険はどうなりますか?
在籍している限り退職日までは会社の社会保険のままです。手続きの起点はあくまで「退職日の翌日」です。
Q4. 家族の扶養に入った後、フリーランスの売上が伸びたら?
年収見込みが130万円以上になった時点で扶養から外れる手続きが必要です。外れた後は国保等への切替になります。
Q5. 国民年金の免除・猶予は使えますか?
退職(失業)による特例免除の制度があります。所得要件に特例が適用されるため、収入が不安定な時期は年金事務所・お住まいの役所に相談してください。
Q6. 任意継続をやめたいときは、いつやめられますか?
2022年1月の制度改正により、本人の申出でやめられます。資格喪失日は「申出が受理された月の翌月1日」なので、国保への切替はその日から逆算して準備しましょう。
Q7. 任意継続の保険料は2年間ずっと同じですか?
原則2年間、退職時の標準報酬月額(上限32万円)がベースですが、都道府県の保険料率は毎年度改定されます。2年経過で資格喪失となり、その後は国保等へ移ります。
出典一覧
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
- 世田谷区「保険料の計算方法」(令和8年度料率・賦課限度額) https://www.city.setagaya.lg.jp/02060/297.html
- 世田谷区「令和8年度国民健康保険料早見表」 https://www.city.setagaya.lg.jp/documents/30111/hayamihyou-r8.pdf
- 協会けんぽ「任意継続(給付と手続き)」(20日以内・2ヶ月要件・標準報酬上限32万円・支援金率を含む計算式・任意脱退) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/voluntary_continuation/
- 協会けんぽ「令和8年度 都道府県単位保険料率」(東京9.85%) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r08/index.html
- 協会けんぽ「令和8年度保険料率のお知らせ」(介護1.62%・子ども・子育て支援金0.23%) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/lp/2026hokenryou/
- 協会けんぽ「被扶養者とは?(任意継続の被扶養者要件)」(年収130万円未満・日額3,612円基準) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sbb3163/1959-230/
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度 月額17,920円) https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryogaku.html
- 日本年金機構「保険料額表」(厚生年金18.3%・資格喪失月の取扱い) https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/20200825.html
- ソロ節約ラボ実測・ソロコンシェルジュ公式情報(実質約44,000円/月) https://solo.suitablism.com/solo-concierge-review/
まとめ|退職前チェックリスト
✅ 退職日を決める前に
- 任意継続・国保・扶養・社保サービスの4つを自分の年収で試算した
- 退職日を月末にするか、保険料のかかり方を理解して決めた
- 扶養の可否(見込み130万円・失業給付日額3,612円)を確認した
- 期限をカレンダーに入れた:扶養5日/国保・年金14日/任意継続20日
- 年収500万円超なら「任意継続で仮スタート→翌年度見直し」を知っている
- 退職2年目に国保額を再計算する予定を入れた
保険料の正解は一つではなく、あなたの前年所得と家族構成で決まります。数字を出してから選ぶ——それだけで年数万〜十数万円の差を防げます。
※本記事の金額は2026年度・東京23区・単身・40歳未満の前提による試算です。実際の金額は自治体・所得・家族構成により異なります。
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