最終更新日:2026年8月29日
国民年金って60歳で終わりですよね? 独立してから未納の時期があったんですが、それって取り戻せないんでしょうか。
取り戻せます。60歳以降も「任意加入」で払えます。ただし公式に「さかのぼって加入することはできません」と書かれているので、気づくタイミングが勝負です。
「国民年金はいつまで払うのか」の答えは、ひとつではありません。日本年金機構の記載を整理すると3層あります。
そして、この制度でいちばん大事なのは「さかのぼれない」という一文です。60歳を過ぎてから気づいても、過ぎた月は取り戻せません。
- 原則は20歳以上60歳未満の40年間(480月)
- 納付が480月に届かないなら、65歳まで任意加入できる
- 受給資格期間を満たしていないなら、65歳以上70歳未満でも任意加入できる
- 任意加入はさかのぼれない。申出のあった月からで、60歳の誕生日の前日から手続き可能
- 厚生年金に加入している人は任意加入できない(そもそも国民年金保険料の納付義務が無い)
第1層:原則は60歳まで
第1号被保険者の国民年金保険料は、20歳以上60歳未満の40年間、480月ぶんを納めるのが原則です。令和8年度の保険料は月17,920円。
480月すべて納めた場合の老齢基礎年金は年847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)です。逆に言えば、480月に足りないぶんだけ年金は減ります。
フリーランス・個人事業主が引っかかりやすいのは、会社員時代と独立後の切れ目です。退職して国民年金に切り替えるまでの数ヶ月が未納になっていたり、収入が落ちた時期に免除を申請していたりすると、480月には届きません。

60歳を過ぎたら、もう払いたくても払えないんですか?
払えます。それが任意加入制度です。ただし条件が4つあって、ひとつでも外れると使えません。
第2層:65歳まで任意加入できる
日本年金機構の記載はこうです。
60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも国民年金に任意加入することができます。(厚生年金保険、共済組合等加入者を除く)
任意加入できるのは、次の4つをすべて満たす人です。
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
- 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
3つ目が本体です。すでに480月納め終わっている人は任意加入できません。逆に、未納や免除で480月に届いていない人だけが使える制度ということになります。
2つ目にも注意してください。年金を繰り上げて受け取り始めた人は、任意加入できなくなります。繰上げは一度選ぶと取り消せないので、順番を間違えると選択肢がひとつ消えます。
繰上げ受給をしていないこと、というのが条件にありましたが…
繰上げは一度選ぶと取り消せません。先に繰り上げてしまうと任意加入という選択肢が消えるので、順番を間違えないでください。
第3層:受給資格が足りないなら70歳まで
公式は、上の4条件に加えて次の人も加入できると書いています。
- 年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の方
- 外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方
老齢基礎年金を受け取るには受給資格期間が必要です。これに足りていない人は、65歳を過ぎても70歳になるまで加入して、資格そのものを取りにいけるということです。
「満額に近づけたい」のが第2層、「そもそも受け取れるようにする」のが第3層、と整理すると分かりやすいと思います。
じゃあ60歳になってから考えれば間に合いますね。
そこが一番の落とし穴です。公式に「さかのぼって加入することはできません」と書かれています。手続きが遅れた月は、そのまま消えます。
いちばん重要な一文:さかのぼれない
公式にはこう書かれています。
ただし、申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません。(60歳の誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができます。)
つまり、61歳になってから「任意加入できたのか」と気づいた場合、60歳から61歳までの12ヶ月分は取り戻せません。任意加入で埋められるのは、手続きをした月から65歳までのぶんだけです。
一方で、60歳の誕生日の前日から手続きができるとも書かれています。ここが実務上の答えです。
59歳のうちに、自分の納付月数が480月に届いているかを確認しておく。これが唯一の対策です。ねんきんネットや年金事務所で確認できます。
なお、免除や納付猶予を受けた期間は10年以内なら追納できます。追納と任意加入は別の制度なので、両方の期限を意識してください。追納については 国民年金の追納は損か得か|社会保険料控除を入れると回収は8.4年に縮む、免除そのものの判断は 国民年金の免除は「しない方がいい」のか に書きました。
自分が何ヶ月納めたか、どこで分かるんですか?
ねんきんネットか年金事務所です。会社員時代と独立後で記録がつながっているか、切れ目の月が未納になっていないかを見てください。ここが一番ズレやすいところです。
任意加入するときの実務
公式が挙げている留意点です。
- 保険料の納付方法は口座振替が原則(外国に居住する日本人を除く)
- 申し込み窓口は市区役所・町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所
- 60歳以上65歳未満で農業者年金への加入を希望する場合は、国民年金への任意加入が必要
- 任意加入している間は、免除・納付猶予や学生納付特例の申請ができません
最後の1つは見落とされがちです。任意加入は「自分から入る」制度なので、払えなくなったら免除ではなく、任意加入をやめるという話になります。
手続きに必要なものは、通帳やキャッシュカード等の口座情報がわかるものと金融機関への届出印、そして基礎年金番号通知書または年金手帳等(マイナンバーで手続きする場合はマイナンバーカード)です。
条件の4つ目に「厚生年金に加入していない方」ってありましたけど、これはどういう意味ですか?
厚生年金に入っている人は、そもそも国民年金保険料を払っていないからです。任意加入する必要が無い、というより、できない。ここが分かると選択肢が増えます。
厚生年金に入ると、この話が丸ごと変わる
任意加入の条件4つ目は「厚生年金保険、共済組合等に加入していない方」です。
これは制限に見えますが、裏返すと重要な事実です。厚生年金の被保険者は国民年金の第2号被保険者になるため、月17,920円の国民年金保険料を納める必要がありません。それでいて、老齢基礎年金の納付月数はカウントされ、さらに厚生年金が上乗せされます。
「いつまで払うか」で悩んでいる人にとって、これは第4の選択肢です。
- 任意加入: 60歳以降も自分で月17,920円を払い、480月に近づける
- 追納: 免除・猶予を受けた期間を10年以内に払う
- 厚生年金に切り替える: 国民年金保険料の納付義務そのものが無くなり、上乗せも増える
個人事業主が厚生年金に加入する方法は フリーランスが厚生年金に加入する3つの方法|将来の年金シミュレーション付き にまとめています。国民年金だけで老後がどうなるかの試算は 【生涯シミュレーション】個人事業主の老後|国民年金だけだと月13万円足りない現実 にあります。
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よくある質問
Q1. 国民年金は結局いつまで払うのですか?
原則は20歳以上60歳未満の40年間(480月)です。納付が480月に届かない場合は65歳まで任意加入でき、受給資格期間を満たしていない場合は65歳以上70歳未満でも任意加入できます。
Q2. 60歳を過ぎてから任意加入に気づきました。さかのぼれますか?
さかのぼれません。公式に「申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません」と明記されています。ただし60歳の誕生日の前日から手続きができるので、59歳のうちに納付月数を確認しておくのが対策になります。
Q3. すでに40年納めていても任意加入できますか?
できません。条件に「20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方」とあります。満額に達している人は対象外です。
Q4. 年金を繰り上げてもらい始めましたが、任意加入できますか?
できません。条件に「老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方」とあります。繰上げは取り消せないため、任意加入を検討している場合は順番に注意してください。
Q5. 任意加入中に払えなくなったら免除を申請できますか?
できません。公式に「国民年金に任意加入している方は、免除・納付猶予や学生納付特例の申請ができません」とあります。払えなくなった場合は任意加入をやめるという選択になります。
Q6. 厚生年金に入っている場合はどうなりますか?
任意加入の条件から外れます(「厚生年金保険、共済組合等に加入していない方」)。ただしそもそも厚生年金の被保険者は国民年金保険料を納める必要がありません。納付月数はカウントされ、厚生年金が上乗せされます。
とりあえず自分の納付月数を調べてみます。
それが正解です。480月に足りているかが分かれば、任意加入が要るかどうかも決まります。足りないと分かったら、59歳のうちに窓口へ行く予定を入れておいてください。
まとめ
国民年金を払う期間は3層あります。原則は20歳から60歳までの480月。届かなければ65歳まで任意加入。受給資格期間そのものが足りなければ70歳まで。
そして最も重要なのは「さかのぼって加入することはできません」という一文です。60歳を過ぎてから気づいた月は取り戻せません。60歳の誕生日の前日から手続きができるので、59歳のうちに自分の納付月数を確認しておく。これが唯一の対策です。
そして、任意加入の条件4つ目「厚生年金に加入していない方」は、裏返すと厚生年金に入れば国民年金保険料そのものを払わなくてよくなるということです。「いつまで払うか」を悩む前に、払わなくて済む道があるかを一度確認してみてください。
※ この記事は2026年8月29日時点で日本年金機構の公式サイトに掲載されている内容と、令和8年度の保険料額をもとにしています。65歳以降の特例的な任意加入には生年月日等の条件が付く場合があるため、個別の可否は年金事務所または市区町村の国民年金窓口でご確認ください。



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