最終更新日:2026年10月13日
2026年9月14日に厚生労働省から通知(保保発0914第2号)が出たあと、フリーランス・個人事業主向けの社会保険加入サービスから「退職扱いとなり、社会保険の資格を喪失します」という案内を受け取った方が増えています。
この記事は、退職日の翌日付で資格を失い、それまでの加入期間は取り消されないという案内を受けた方向けに、健康保険と年金をどう切り替えるかを、期限の早い順に整理したものです。特定のサービスを勧める記事ではありません。
加入していたサービスから「退職扱いで資格喪失」って連絡が来ました…。とりあえず国保に戻ればいいんですよね?
待ってください。国保以外に、期限つきでしか選べない「任意継続」という選択肢があります。人によっては国保よりかなり安くなるので、先にそこだけ確認しましょう。
⏰ 先に期限だけ
- 任意継続:退職日の翌日から20日以内(20日目が土日祝なら翌営業日、郵送は必着)。
例:9月14日退職 → 10月5日(月)必着。電子申請もできます(平日8〜21時。17:15以降の送信は翌営業日の受付) - 国民年金の切り替え:14日以内が原則(市区町村の窓口)
- 国民健康保険(任意継続を選ばない場合):14日以内が原則(遅れても加入日はさかのぼる)
まず確認:資格を失った日と「さかのぼるかどうか」
届いた案内で、次の2点を確認してください。この記事の手順が当てはまるかどうかが変わります。
- 退職日と資格喪失日(例:9月14日退職・9月15日資格喪失)
- それまでの加入期間が取り消されるかどうか(「さかのぼって取り消されるものではない」と書かれているか)
加入期間が取り消されない場合は、会社を辞めたときと同じ扱いになり、下の3つから健康保険を選べます。加入期間そのものがさかのぼって否認された場合は話が別で、過去の国保・国民年金の保険料の扱いが問題になります。その場合は、案内を出した事業所と、住所地の市区町村・年金事務所に個別に確認してください。
健康保険は3つから選ぶ

| 選択肢 | 手続き先・期限 | 保険料 | 家族 |
|---|---|---|---|
| 任意継続(協会けんぽ) | 住所地の都道府県の協会けんぽ支部/退職日の翌日から20日以内 | 退職前に天引きされていた健康保険料の2倍(上限あり) | 扶養家族は保険料なしで加入できる |
| 国民健康保険 | 市区町村の国保窓口/14日以内が原則 | 前年の所得・世帯の人数などで決まる(自治体ごとに異なる) | 家族も1人ずつ加入(均等割がかかる) |
| 家族の健康保険(被扶養者) | 家族の勤務先/勤務先の定めに従う | 本人負担なし | —(収入などの条件あり) |
任意継続:期限は「退職日の翌日から20日以内」
任意継続は、辞める前に入っていた協会けんぽの健康保険に、最長2年間そのまま入り続けられる制度です。協会けんぽの公式ページに書かれている条件は次の2つです。
- 退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あること
- 退職日の翌日から20日以内に「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること(20日目が土日・祝日なら翌営業日。郵送は20日以内に必着)
9月14日に退職した場合、翌日の9月15日が1日目で、20日目は10月4日(日)です。日曜なので翌営業日の10月5日(月)必着になります。
マイナンバーカードがあれば電子申請できる
協会けんぽの「電子申請サービス」の対象に、任意継続被保険者 資格取得申出書が入っています(協会けんぽ公式で2026年9月30日確認)。退職した本人が申請できます。
- 必要なもの:マイナンバーカードと、受け取ったときに設定した4桁の暗証番号(マイナ保険証の登録はしていなくても使えます)、PCかスマホ
- 手順:申請書から「任意継続被保険者 資格取得申出書」を選ぶ → マイナンバーカードで資格情報を取得し、退職前の資格を選ぶ(資格を失ったあとでも選べます)→ 入力して送信
- 受付は平日8:00〜21:00だけ。土日祝は使えません。17:15以降に送信すると翌営業日の受付扱いになるので、期限の日は17:15までに送信してください
扶養家族も一緒に入れる場合は、生計維持関係を示す書類の画像が必要になることがあります。
⚠ 会社の資格喪失届がまだ処理されていないと、電子申請で資格情報を取得できず先へ進めないことがあります。喪失届は会社が年金事務所に出し、処理に1週間ほどかかることがあります。期限が近い場合は、紙の申出書を郵送するほうが確実です(下の「期限が近いなら紙で出す」)。
会社の手続きが済んでいなくても申出できる
協会けんぽの説明では、申出書を受け取ったあと、年金機構から会社の資格喪失届の情報が届くのを待って手続きを進めます。つまり、会社の喪失届が処理される前に申出書を出すのは普通のことです。期限の「20日以内」は、あなたが申出書を出す期限です。
待たずに早く進めたい場合は、次のどちらかを付けます。
- 申出書の「資格喪失証明欄(事業主記入用)」に、会社が退職日を記入する
- 退職日が確認できる証明書の写し(退職証明書、資格喪失届の写しなど、事業主か公的機関の証明印があるもの)
任意継続の資格は退職日の翌日にさかのぼって始まり、手続きが終わるまでの間に受診した分も給付の対象になります。
迷うなら、申出だけ先に出しておく
任意継続は、初回の保険料を納付期限までに払わなければ資格が取り消しになります(協会けんぽFAQ)。そのため、条件を満たしていそうなら期限内に申出だけしておき、届いた納付書の金額を国保の見込み額と比べてから決めることができます。
ただし、取り消しになった場合、その間に任意継続の資格で受診していた分は医療費の保険負担分を全額返すことになります。決めるまでの間は、なるべく受診を控えるか、国保の手続きを先に済ませておくと安全です。
期限が近いなら紙で出す
- 入力用の申出書(協会けんぽの申請書ページの「入力用」)は、Adobe Acrobat Reader で開いて入力します。ブラウザやMacのプレビューでは入力欄が正しく動かないことがあります。手書き用に手書きでも構いません
- 印刷は片面・「実際のサイズ」(拡大縮小なし)・通常の濃さで。協会けんぽはスキャナで読み取るため、ずれると処理が遅れます
- 「在職時の記号・番号」を書いた場合、マイナンバー欄は空欄にします(マイナンバーを書くと本人確認書類の添付が必要になります)
- 提出先は住所地の都道府県の協会けんぽ支部。期限は「必着」なので、消印ではなく届いた日で判断されます。郵便局の窓口で「速達+簡易書留」にすると、届いた日を追跡で確認できます。不安なら支部の窓口に持参するのが確実です
保険料は「給与明細の健康保険料×2」で見当がつく
任意継続の保険料は、会社が払っていた分も自分で払うことになるため、退職前に給与から天引きされていた健康保険料のおよそ2倍です(上限があり、住所の都道府県が変わった場合などは2倍にならないこともあります)。
社会保険加入サービスでは、給与(報酬)を低めに設定していることが多く、その場合は天引きされていた健康保険料も小さくなっています。最後の給与明細の「健康保険料」欄を2倍して、国民健康保険の見込み額と比べてみてください。国保は前年の所得で決まるので、所得がある人ほど差が出やすくなります。
▶ 標準報酬月額別の金額(上限32万円・40〜64歳の介護分を含む)は 任意継続の保険料の計算方法と早見表【2026年度】 にまとめています。
任意継続で気をつけること
- 年金は含まれません。任意継続は健康保険だけで、年金は国民年金(第1号)への切り替えが別に必要です
- 保険料を納付期限までに納めないと、その時点で資格を失います(猶予はありません)。毎月の納付書なら期限を忘れずに。口座振替は別に「口座振替依頼書」が必要です。前納(年4%の割引)は、途中で別の社会保険に移る予定があるなら避けたほうが無難です
- 保険料は日割りになりません。国保も任意継続も月単位で、資格を取った月は1か月分まるごとかかり、資格を失った月はかかりません(例:9月15日に資格喪失→9月分は1か月分)
- 新しい勤め先や加入サービスで社会保険に入ると、その日に任意継続は自動で終わり、あとから戻ることはできません。そのサービスがまた止まった場合は国保に移ることになります
- 40歳から64歳の方は、介護保険料も含まれます
- 申出が受理されるかどうかは協会けんぽが判断します。案内に「加入期間は取り消されない」とあっても、不安がある場合は住所地の協会けんぽ支部に電話で確認してから出すと確実です
家族も扶養に入れてたんですけど、国保だと1人ずつ保険料がかかるんですよね?
そうです。国保には「扶養」がないので、家族の分も均等割がかかります。任意継続なら扶養家族の保険料はかからないので、家族がいる人ほど任意継続を先に検討する価値があります。
実際に任意継続に入った記録(運営者の場合)
このサイトの運営者も、2026年9月14日付で「退職扱い」になり、協会けんぽの任意継続に入りました。届いた通知書の内容をそのまま載せます(氏名・住所・番号は黒塗りにしています)。

- 資格取得年月日:令和8年9月15日(退職日の翌日)
- 資格喪失予定年月日:令和10年9月15日(最長2年)
- 標準報酬月額:58千円(退職時のもの)
- 保険料率:10.08%(一般9.85%・介護1.62%・子ども・子育て支援金0.23%。40歳未満なので介護分はかからない)
- 1か月分の保険料:5,846円(一般5,713円・介護0円・子ども・子育て支援金133円)。年70,152円
任意継続の保険料は「退職時の標準報酬月額×保険料率」の全額自己負担なので、退職時の標準報酬月額が低かった人ほど安くなります。同じ人が国保に入った場合、世田谷区・令和8年度・40歳未満で事業所得が500万円なら国保は年550,579円で、差は年480,427円です(国保は前年の所得で決まるため、所得によって差は変わります)。
ただし、任意継続に入れるのは、退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があり、退職日の翌日から20日以内に申し出た場合です。加入期間そのものがさかのぼって取り消された場合は、この前提が崩れます。また、保険料を納付期限までに納めないと資格を失います。
年金:国民年金への切り替えは14日以内
厚生年金の資格を失うと、20歳以上60歳未満の方は国民年金の第1号被保険者になります。住所地の市区町村の窓口で、14日以内に切り替えの手続きをするのが原則です。国民健康保険に入る場合は、同じ日に同じ庁舎で済ませられることが多いです。
配偶者を扶養に入れていた方は注意してください。配偶者は国民年金の第3号被保険者だったはずで、本人の資格喪失と同時に第3号でなくなります。配偶者も第1号への切り替えが必要です(詳しくは自営業の配偶者と第3号の関係)。
iDeCo(個人型確定拠出年金)に入っている方は、加入者区分の変更が必要になる場合があります。加入先の金融機関に確認してください。
資格を失った日以降に保険証(資格確認書)を使ってしまったら
資格を失った日以降にそれまでの保険証や資格確認書で受診すると、あとから医療費の精算が必要になります。協会けんぽが負担した分をいったん返し、新しく入った健康保険に療養費として請求するのが原則です。
ただし、受診日に新しい健康保険の資格がある場合は、「保険者間調整」という仕組みで、本人がいったん返納しなくても保険者どうしで精算できる場合があります。対象になるかは新しく入る健康保険の窓口に確認してください。資格確認書やマイナ保険証の扱いは切り替え時のマイナ保険証・資格確認書でまとめています。
手元に残った資格確認書は、案内に従って返送します(協会けんぽの場合は案内に返送先が書かれています)。
受け取っておく書類
- 資格喪失証明書(国保や家族の扶養に入るときに求められることが多い)
- 源泉徴収票(その年の確定申告で、給与所得として申告するのに使う)
- 雇用保険に入っていなかった場合、離職票は出ません
書類が届くまで国保の手続きを待つ必要はありません。資格喪失日が分かる案内(メールや書面)を持って窓口に行けば、自治体によっては先に手続きできます。
結局、どっちを選べばいいんでしょう?
期限が短い順に考えるのがコツです。まず10月5日までに、給与明細の健康保険料×2と、国保の見込み額を比べる。任意継続のほうが安ければ協会けんぽに申し出て、年金は市区町村で国民年金に切り替える。国保のほうが安ければ、国保と国民年金を同じ日に手続きすれば終わりです。
よくある質問
Q1. 任意継続と国民健康保険、どちらが安いですか?
人によって違います。任意継続は「退職前に天引きされていた健康保険料の約2倍」、国保は「前年の所得と世帯の人数」で決まります。給与を低く設定していた社会保険加入サービスの元加入者は、任意継続のほうが安くなるケースが多いと考えられますが、必ず自分の給与明細と自治体の国保の試算で比べてください。
Q2. 任意継続の期限を過ぎたらどうなりますか?
任意継続は選べなくなり、国民健康保険か家族の扶養のどちらかになります。20日の期限は延長されないので、迷っている場合は先に申出書を出しておき、あとで国保に切り替える(任意継続の資格喪失を申し出る)という順番も考えられます。
Q3. 国保の手続きが14日を過ぎてしまいました。
手続きが遅れても、国保の資格は社会保険を失った日にさかのぼって始まっていて、保険料もその日の分から計算されます。遅れた期間に医療機関にかかった分の扱いなどは市区町村によって異なるので、早めに窓口に行ってください。
Q4. 加入していたサービスの新しい制度が始まるまで待つべきですか?
健康保険と年金の切り替えは待たずに進めてください。無保険の期間は作れません。新しい制度の内容・時期が公表されてから、改めて比べれば間に合います。
Q5. 会社の資格喪失届がまだ処理されていません。任意継続の申出はできますか?
できます。協会けんぽは、申出書を受け取ったあと年金機構から喪失届の情報が届くのを待って手続きを進めます。退職証明書などの写しを付けると早く進むことがあります。期限の20日以内(必着)に、申出書だけは先に出してください。
Q6. 任意継続にするか国保にするか、まだ決められません。
条件を満たしていそうなら、期限内に申出だけしておくのがおすすめです。初回の保険料を納付期限までに払わなければ任意継続の資格は取り消しになるので、届いた納付書の金額を国保の見込み額と比べて決められます。ただし、取り消しになった場合、その間に任意継続の資格で受診した分は保険負担分の返還が必要です。
まとめ
- 「退職日の翌日に資格喪失・加入期間は取り消されない」なら、会社を辞めたときと同じく、健康保険は任意継続・国保・家族の扶養の3択
- 任意継続だけは期限つき(退職日の翌日から20日以内・必着)。9月14日退職なら10月5日(月)
- 任意継続の保険料は給与明細の健康保険料×2が目安。給与が低めだった人ほど国保より安くなりやすい
- 年金は14日以内に国民年金(第1号)へ。扶養していた配偶者も第1号へ
- 資格喪失日以降に保険証を使った場合は、療養費の精算か保険者間調整
退職前後の保険の手続き全体は退職前チェックリストでも整理しています。
この記事の検証方法(透明性のために)
任意継続の条件・期限・保険料は全国健康保険協会(協会けんぽ)の公式ページ「任意継続」、保険者間調整は同「保険者間調整」のページで2026年9月29日に確認しました。国保・国民年金の届出期限は市区町村・日本年金機構の案内に基づきます。9月14日の通知は厚生労働省の原文を確認しています。個別の事情で扱いが変わることがあるため、最終的には協会けんぽ・市区町村・年金事務所の窓口でご確認ください。



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