2026年10月1日から、フリーランス・自営業者を対象とした「国民年金育児期間保険料免除制度」がスタートします。
これは、子どもが1歳になるまでの期間、フリーランスの国民年金保険料(令和8年度月額17,920円)が所得制限なしで免除される画期的な新制度。父親も養父母も対象で、夫婦ともにフリーランスなら2人とも免除を受けられます。
本記事は、制度の詳細・対象者・申請方法・落とし穴を、厚生労働省・日本年金機構の公表情報で整理したガイドです。あわせて、この新制度の限界——「免除されるのは国民年金保険料のみで、出産手当金や育児休業給付金は対象外」——も解説します。
✅ この記事でわかること
- 2026年10月施行の新制度の正確な内容(厚労省・日本年金機構公式情報ベース)
- 対象者・免除期間・免除額の具体的な数字
- マイナポータルからの申請方法と必要書類
- 母親と父親で異なる免除期間(産前産後免除との連続性)
- 新制度の限界——免除されないもの(出産手当金・育休給付金等)
- 育児期間にフリーランスが活用できる8つの公的支援制度
- 付加年金・国民年金基金・iDeCoの注意点
- FAQ8問と詳細記事マップ
2026年5月時点の厚労省事務連絡・日本年金機構公表情報を元に作成しています。申請の具体的手続きは2026年4月以降に公開される日本年金機構特設ページおよびお住まいの市区町村窓口で最新情報をご確認ください。
セツヤくん
2026年10月から、フリーランスでも育児期間中の国民年金が免除されるって聞いたよ。本当?
イソロくん
本当だよ。厚労省と日本年金機構が公式発表してる。ただし、免除されるのは国民年金保険料だけで、出産手当金や育休給付金は対象外なんだ。詳しく見ていこう。
🎥 動画で解説:【2026年10月開始】フリーランスの育児で年金が夫婦448,000円免除|所得制限なし・払った分は還る【2026年版】(約7分)
新制度の概要|2026年10月1日施行、フリーランスへの初の育児支援
正式名称は「国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除制度」。「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)」によって創設され、2026年(令和8年)10月1日から施行されます。
制度の3つの柱
📊 新制度の3つの柱
- 対象:国民年金第1号被保険者で、子どもが1歳になるまでの間に育児をしている父母・養父母
- 免除内容:国民年金保険料(令和8年度 月額17,920円)が全額免除
- 将来年金への影響:免除期間も保険料を全額納付したものとして老齢基礎年金額に算入(年金額は減らない)
これまでの制度との位置づけ
フリーランス(国民年金第1号被保険者)向けの育児・出産関連の保険料免除制度は、ここ数年で段階的に整備されてきました。
| 時期 | 制度 | 対象 |
|---|---|---|
| 2019年4月〜 | 出産前後の国民年金保険料免除 | 実母のみ(産前1ヶ月+産後3ヶ月) |
| 2024年1月〜 | 出産前後の国民健康保険料免除 | 実母のみ(産前1ヶ月+産後3ヶ月) |
| 2026年10月〜 | 育児期間中の国民年金保険料免除 | 父母・養父母(子1歳になるまで) |
つまり、2026年10月の新制度は「出産直後の4ヶ月」だけだった免除期間が、「子が1歳になるまで」に大幅拡大されるとともに、父親や養父母も対象になる、フリーランスへの育児支援としては過去最大の改革と言えます。
対象者と要件|誰が、いつ、何月分免除されるのか
セツヤくん
具体的に誰が対象で、何ヶ月分が免除されるの?
イソロくん
実母と父親・養父母で免除期間が違うんだ。整理して見ていこう。
対象者の要件
日本年金機構の発表によると、対象となるのは以下のすべてを満たす方です:
- 令和8年10月1日以降、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者(自営業者、農業者、学生、無職など)
- 子の実父母または養父母であること
- 子と身分(親子)関係が継続していること
- 子と同一住所であること
🔶 重要:所得制限なし
この新制度には所得制限が一切ありません。年収300万円のフリーランスでも、年収1500万円のフリーランスでも、平等に保険料が免除されます。これは既存の所得免除制度(全額・3/4・半額・1/4免除)とは全く別の仕組みです。
実母の免除期間
実母には既存の「産前産後免除」(4ヶ月、多胎妊娠の場合6ヶ月)があり、その期間に引き続いて9ヶ月間の育児期間免除が適用されます。
合計で最大13ヶ月間の免除(産前産後4ヶ月 + 育児免除9ヶ月)。
計算例:
- 出産(予定)日:令和9年5月1日
- 産前産後免除期間:令和9年4月〜7月(4ヶ月)
- 育児免除期間:令和9年8月〜令和10年4月(9ヶ月)
- 合計:13ヶ月
実父・養父母・養子の養育者の免除期間
産前産後免除の対象でない方は、子の出生日(または養子となった日)から1歳の誕生日の前月まで、最大12ヶ月間が育児免除期間になります。
計算例:
- 子の出生日:令和9年5月1日
- 育児免除期間:令和9年5月〜令和10年4月(12ヶ月)
新制度施行をまたぐケース(2026年10月以前の出産)
施行日(2026年10月1日)以前に生まれた子でも、施行日時点で1歳未満であれば対象になります。
計算例:
- 子の出生日:令和8年1月1日
- 1歳になる前月:令和9年4月
- 育児免除期間:令和8年10月〜令和8年12月(3ヶ月)※施行日以降のみ
つまり、施行日前に1歳になった子は対象外です。目安として、実子の場合は2025年11月以降の出生であれば対象月が残る可能性があります。
夫婦ともにフリーランスの場合
夫婦ともに国民年金第1号被保険者であれば、夫婦2人とも免除を受けられます。所得制限はなく、申請も別々に必要です。
夫婦2人分で年間最大約43万円(17,920円 × 12ヶ月 × 2人)の保険料負担が軽減される計算になります。
免除額の計算|年間最大21万円の負担減
セツヤくん
実際にいくら助かるの?金額で見たいな。
イソロくん
令和8年度の月額17,920円ベースで計算すると、最大で1人約21万円、夫婦で約43万円の負担減になるよ。
免除額のシミュレーション
| ケース | 免除月数 | 免除額(合計) |
|---|---|---|
| 実母(産前産後+育児) | 13ヶ月 | 約232,960円 |
| 父親・養父母 | 12ヶ月 | 約215,040円 |
| 夫婦ともにフリーランス(実母+父) | 13ヶ月+12ヶ月 | 約448,000円 |
| 多胎妊娠の実母 | 15ヶ月(産前産後6ヶ月+育児9ヶ月) | 約268,800円 |
※令和8年度の国民年金保険料 月額17,920円で計算。保険料は毎年改定されます。
将来の年金額への影響:減らない
免除を受けた期間は「保険料納付済期間」として扱われ、将来の老齢基礎年金額の計算に算入されます。つまり、保険料を払わなくても、払ったのと同じ年金額がもらえる仕組みです。
これは、一般的な所得免除制度(保険料納付率が一部しか反映されない)と決定的に異なる、新制度の最大のメリットです。
✅ 重要:年金額は減らない
育児免除を受けても、将来の老齢基礎年金額は満額保障されます。保険料を払ったのと同じ扱いになるため、年金額の心配なく制度を活用できます。
申請方法|マイナポータルからスマホで完結
セツヤくん
申請ってどこでするの?市役所行かないとダメ?
イソロくん
マイナポータルからスマホで申請できる予定だよ。紙申請も可能だけど、デジタルが便利。
申請の流れ(2026年10月以降)
- 子の出生(または養子縁組)
- マイナポータルにアクセス(電子申請)または市区町村役場・年金事務所へ届出(紙申請)
- 必要事項を入力・記載
- 添付書類を提出
- 承認後、免除開始(さかのぼっての適用も可能)
届書の名称
正式名称は「産前産後免除該当届/育児免除該当届・終了届」。産前産後免除と育児免除が一つの届書にまとめられています。
必要書類
- 本人確認書類(マイナンバーカード等)
- 子との親子関係を証明する書類(戸籍謄本等。住民票でも代替可)
- 子の出生(または養子縁組)を証明する書類
紙申請の場合は、上記に加えてマイナンバーカードの写し等が必要です。
申請のタイミング
原則として、子が生まれた後(または養子縁組成立後)すぐに申請可能です。施行前の出生児についても、施行日(2026年10月1日)以降に申請できます。
遡及申請も可能とされていますが、早めの手続きが推奨されます。
📝 注意:詳細は2026年4月以降の公式発表で確認
日本年金機構の特設ページは2026年4月1日に公開予定とされています。申請手順・必要書類の最新情報は、公式ページ公開後に必ず確認してください。本記事は2026年5月時点の情報を元に作成しています。
新制度の3つの落とし穴|免除されないものに注意
セツヤくん
新制度すごい!って思ってたら、何か注意点もあるの?
イソロくん
3つの大事な落とし穴があるよ。これを知らないと、新制度を最大活用できないんだ。
落とし穴①:国民健康保険料は免除されない
新制度で免除されるのは国民年金保険料のみ。国民健康保険料は対象外です。
国民健康保険料は出産前後の4ヶ月だけ免除されますが、育児期間中の国保料は引き続き全額負担。年収500万円の方なら、育児期間中も月3〜5万円の国保料を払う必要があります。
落とし穴②:出産手当金・育休給付金は対象外
会社員なら受け取れる以下の給付は、新制度ではカバーされません:
- 出産手当金(産前産後で月給の2/3、合計50万円程度)
- 育児休業給付金(育休中に月給の67%→50%、合計150〜200万円程度)
- 出生時育児休業給付金(産後8週以内の取得分)
- 出生後休業支援給付金(夫婦育休による上乗せ)
会社員が出産〜1歳までで合計150〜250万円の給付金を受け取るのに対し、フリーランスは新制度を最大活用しても21〜45万円の免除のみ。差額は依然として大きいのが現実です。
落とし穴③:付加年金・国民年金基金・iDeCoへの影響
育児免除を受けた期間中は、以下の制度に注意が必要です:
- 付加年金:免除期間中も月額400円の付加保険料を納付できます(任意)
- 国民年金基金:免除期間中は拠出できなくなります
- iDeCo:免除期間中は拠出できなくなります
- 確定申告:免除を受けた保険料は社会保険料控除の対象外
特にiDeCoを毎月積み立てている方は、免除期間中の拠出停止が老後資金計画に影響する可能性があります。事前にシミュレーションして判断しましょう。
新制度+社保加入で「会社員と同等」を獲得する戦略
セツヤくん
新制度だけだと、会社員より明らかに不利だね。何か他に対策はある?
イソロくん
個人事業を続けながら別途社会保険に加入すると、健康保険からの出産手当金は対象になります。ただし育児休業給付金・出生時育児休業給付金は雇用保険からの給付なので、社保加入しても対象外のままです(雇用保険には加入しないため)。「給付フルセット」ではない点に注意しましょう。
社保加入で得られる育児関連給付
新制度と組み合わせて最大限活用しよう。



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