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最終更新日:2026年10月20日
フリーランス・個人事業主が国民健康保険料を合法的に下げる方法は、実は多くありません。iDeCoや小規模企業共済は所得税・住民税は下げますが、国保の計算には使われません。国保に効くのは「経費」と「青色申告特別控除」です。
その青色申告特別控除が、令和9年分(2027年1月〜12月の所得)から変わります。最大75万円に上がる一方で、紙で申告すると複式簿記でも10万円になります。この記事では、青色申告の承認申請の期限と、改正後に65万円・75万円を受ける条件を、国税庁・財務省の原文で整理します。
先に結論
- 令和9年分から青色申告にするなら、承認申請書は令和9年3月15日(月)まで(1月16日以後の開業は開業から2か月以内)
- 令和9年分からの控除は、複式簿記+e-Taxで65万円、さらに優良な電子帳簿で75万円。紙で出すと10万円
- 65万円の控除で、世田谷区(40歳未満)なら国保が年68,770円下がる(75万円なら79,350円)
- 国保はその前年の所得で決まるので、令和9年分の青色は令和10年度の国保に効く
国保を下げたくてiDeCoを始めたのに、全然下がらなかったんです。何をすれば下がるんですか?
国保に効くのは経費と青色申告特別控除なんだ。しかも来年分から青色の控除の条件が変わるから、白色の人も青色の人も、今のうちに確認しておこう。
1. なぜ青色申告で国保が下がるのか
国保の所得割は、おおまかに「(事業所得 − 基礎控除43万円)× 所得割率」で計算します。ここでいう事業所得は、売上から経費と青色申告特別控除を引いた額です。
一方、iDeCo・小規模企業共済・ふるさと納税・社会保険料控除は、所得税・住民税の「所得控除」で、国保の計算には入りません。詳しくはiDeCo・小規模企業共済で節税しても国保は1円も下がらないで書いています。
世田谷区の令和8年度の所得割率(40歳未満)は合計10.58%(医療分7.51%・後期高齢者支援金分2.80%・子ども・子育て支援金分0.27%)です。控除額ごとの国保の減り方は次のとおりです。
| 青色申告特別控除 | 国保が下がる額(40歳未満) | 40〜64歳(介護分2.43%を足す) |
|---|---|---|
| 10万円 | 年10,580円 | 年13,010円 |
| 55万円 | 年58,190円 | 年71,555円 |
| 65万円 | 年68,770円 | 年84,565円 |
| 75万円 | 年79,350円 | 年97,575円 |
※世田谷区 令和8年度の料率で計算。上限(年96万円・40歳未満)に届いている人は下がりません。率は自治体で異なります。所得税・住民税も別に下がります。
2. 青色申告の承認申請はいつまで?
青色申告をするには、事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を出します(国税庁 No.2070)。
| 状況 | 提出期限 |
|---|---|
| 原則(すでに事業をしている人) | 青色申告をしたい年の3月15日まで |
| その年の1月16日以後に開業した | 開業した日から2か月以内 |
- 期限が土日祝日なら翌日。令和9年3月15日は月曜日なので、令和9年分から青色にするならこの日まで
- 「開業から2か月以内」は、開業日を数えずに2か月後の同じ日の前日まで。たとえば5月20日に開業したら7月20日までです(国税通則法10条)
- 令和8年分(今年分)は、原則の期限(令和8年3月)を過ぎています。今年1月16日以後に開業した人だけ、開業から2か月以内なら間に合います
- 提出はe-Tax(WEB版のマイページ。スマホからも可)か、書面を持参・郵送。税務署の窓口は令和8年10月1日から原則9時〜15時です
開業届と一緒に出す人も多い書類です。開業届の期限や注意点は開業届のデメリットは本当にあるのかで整理しています。
申請を忘れると、年にいくら違う?
承認申請を出し忘れると、その年は白色申告になります。65万円の控除を受けた場合と比べると、税金と国保の合計で次の差が出ます。
| 控除前の所得 | 白色との差(年) |
|---|---|
| 200万円 | 159,770円 |
| 300万円 | 166,970円 |
| 400万円 | 184,770円(所得税51,000円・住民税65,000円・国保68,770円) |
| 500万円 | 264,870円 |
| 600万円 | 266,470円 |
試算の条件:単身・40歳未満・東京都世田谷区・事業所得だけ。令和8年分の所得税、令和8年度の住民税・国保の料率で計算。復興特別所得税・個人事業税は含めていません(個人事業税は青色申告特別控除を足し戻して計算するので変わりません)。
青色にすれば、とりあえず65万円引けるんですよね?
そこが今回の改正のポイントなんだ。令和9年分からは、複式簿記でも紙で出すと10万円になってしまう。65万円以上はe-Taxが前提だよ。
3. 令和9年分から青色申告特別控除はこう変わる
令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定)と国税庁のリーフレット(R8.4)による、令和9年分以後の変更点です。

| 帳簿と提出のしかた | 令和8年分まで | 令和9年分から |
|---|---|---|
| 複式簿記+e-Tax+優良な電子帳簿 | 65万円 | 75万円 |
| 複式簿記+e-Tax | 65万円 | 65万円 |
| 複式簿記・紙で提出 | 55万円 | 10万円 |
| 簡易簿記 | 10万円 | 10万円(前々年の事業の収入1,000万円超は0円) |
- 55万円の控除はe-Taxが要件に加わり、65万円になる。紙で出す人は55万円も65万円も受けられません
- 75万円は、複式簿記+e-Taxに加えて、仕訳帳・総勘定元帳を一定の要件を満たす電子帳簿で保存している人。国税庁のリーフレットでは、請求書データ等との自動連携や訂正削除履歴の記録などを満たす「優良な電子帳簿」と説明されています
- 簡易簿記の10万円は、前々年の事業所得の収入金額が1,000万円を超える人は受けられなくなります
- 65万円以上の控除は、どの年分も確定申告期限(翌年3月15日)までに提出することが条件です。期限を過ぎると10万円になります
4. 令和9年分から65万円・75万円を受けるための準備
- 白色の人:令和9年3月15日までに青色申告承認申請書を出す
- 複式簿記で記帳する:会計ソフトを使うと、日々の仕訳から貸借対照表・損益計算書まで作れます。比較は確定申告ソフト3選比較にまとめています
- e-Taxで申告する:65万円以上の前提です。マイナンバーカードがあればスマホからも出せます
- 75万円を狙うなら:使う会計ソフトが優良な電子帳簿の要件に対応しているかを確認し、必要な届出を期限までに出す
国税庁のリーフレットでは、会計ソフトの導入に「デジタル化・AI導入補助金」が使えること(小規模事業者は最大80%補助)や、税務署の記帳説明会・青色申告会・商工会の記帳指導も案内されています。
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e-Taxに対応した会計ソフトには、たとえばやよいの青色申告 オンライン
やマネーフォワード クラウド確定申告
があります。料金・無料期間・電子帳簿保存への対応は、各社の公式サイトで確認してください。
今年は白色で出すしかないんですね。じゃあ来年から青色にして、国保が下がるのはいつからですか?
国保は前の年の所得で決まるから、令和9年分の青色は、令和10年度(2028年4月〜)の国保に効くんだ。1年ずれるから、早めに始めるほど得だよ。
5. 国保に効くまでのスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 〜令和9年3月15日(月) | 青色申告承認申請書を出す(令和9年分から青色にする場合)/令和8年分の確定申告 |
| 令和9年1月〜12月 | 複式簿記で記帳(75万円を狙うなら優良な電子帳簿の要件に対応した会計ソフトで) |
| 〜令和10年3月15日 | 令和9年分をe-Taxで確定申告(65万円・75万円の控除) |
| 令和10年6〜7月ごろ | 令和10年度の国保の通知。青色申告特別控除の分だけ所得割が下がる |
青色申告にすると、家族への給与を経費にできる青色事業専従者給与も使えます。ただし国保の軽減判定への効き方には注意点があり、青色専従者給与で国民健康保険料は下がる?で整理しています。
よくある質問
Q1. 青色申告承認申請書の期限はいつですか?
青色申告をしたい年の3月15日までです。その年の1月16日以後に開業した場合は、開業した日から2か月以内です。令和9年分から青色にするなら、令和9年3月15日(月)までに出します(国税庁 No.2070)。
Q2. 65万円控除の条件は令和9年分からどう変わりますか?
これまでの55万円控除にe-Taxが要件として加わり、控除額が65万円になります。さらに優良な電子帳簿で保存している人は75万円です。紙で提出すると、複式簿記でも10万円になります(令和8年度税制改正の大綱)。
Q3. 青色申告で国保はいくら下がりますか?
控除額に所得割率をかけた分だけ下がります。世田谷区(令和8年度・40歳未満、所得割10.58%)なら、65万円控除で年68,770円、75万円控除で年79,350円です。上限に届いている人は下がりません。
Q4. iDeCoや小規模企業共済では国保は下がりませんか?
下がりません。これらは所得税・住民税の所得控除で、国保の所得割の計算には使われません。国保に効くのは経費と青色申告特別控除です。
Q5. 今年(令和8年分)から青色申告にできますか?
原則の期限(令和8年3月)を過ぎているため、すでに事業をしている人は令和8年分からはできません。令和8年1月16日以後に開業した人は、開業から2か月以内に出していれば令和8年分から青色にできます。
出典:国税庁 タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」・No.2072「青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」、財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)、国税庁リーフレット「令和9年分以後の所得税について、10万円控除要件が変わります」(R8.4)、世田谷区 令和8年度国民健康保険料率



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